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ゲーム分析という仕事に興味を持ってくれる人が増えてほしい

分析のエキスパートたち、これまでの経歴

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H.T:ゲーム分析部部長のH.Tです。DeNAに入社する前は、大学の研究所でビッグデータの分析をしたり、ビックデータを使ったWebサービスを開発してベンチャー企業を立ち上げたりしていました。DeNAに入ってからは、ゲーム分析とマーケティング分析の両方を見させてもらっています。

T.N:私はWeb企業で自社サービスの検索アルゴリズムの改善に取り組んでいました。2011年1月にDeNAに入社して、その後はずっとゲーム分析を担当しています。

K.F:私は大学院を卒業してからコンシューマーゲームの開発会社に入社しまして、経営企画やデータ分析を10年ほどやっていました。その経験を活かしてスマートフォンのゲーム分析に取り組みたいと思い、DeNAに転職しています。それからはおもにゲームのマーケティング分析が担当です。

分析チームが日々実践していること

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T.N:まず、自分が担当しているタイトルを徹底的に遊びます。そして課題だと感じたことをログなどのデータと突き合わせて、同じように感じているユーザーさんの規模や、それが及ぼす影響について報告と改善提案をしています。

H.T:ログデータから自分以外のユーザーさんの行動が確認できるので、自分のやっていることがおかしいのか、上手いのか下手なのかなどがよくわかりますよね。

T.N:分析は、作り手としての立場とプレイヤーとしての立場、両方を楽しめるところがあります。ゲームがどのように遊ばれて、その結果どう評価されているのかを知ることができるのは、作り手としての醍醐味だと思います。あと、純粋に完成したゲームをワクワクしながら遊べますしね(笑)。ユーザーさんのログデータを解釈していくと、作り手の狙い通りの反応があったり、その逆だったりと、つねに驚きや発見があります。作り手とユーザーさんの架け橋としての役割であると思っています。

H.T:一般的なWebサービスだと、「こうすればいいですよ」とすぐに提案できますが、ゲームは「面白い」が人によって違いますし、正直何だかよくわかりません(笑)。うまく開発チームとコミュニケーションを取りながら分析を進めていくのが楽しかったりしますね。

T.N:そうですね。Webサービスは利用目的が決まっているので、その目的に最適化されている場合が多いですよね。一方でゲームは、いろいろな遊び方をしているユーザーさんが存在する。自分たちでは想像できないような遊び方をされていることも多いので、一人一人の求めているものがまったく違うんだなと思います。それを紐解く必要があるのは、一般的なWebサービスとは違いますよね。「面白さ」には、たくさんのベクトルがある。それらをどうやってひとつのプロダクトで実現するかを考えるところが腕の見せどころでもあるし、提案のしがいがあるところですよね。

ゲーム分析と、ほかのサービス分析との大きな違い

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T.N:やはり「面白いとは何か」を考える部分ですね。ゲームをする目的も、何を面白いと感じるかも、どういう理由でお金を使ってくださるかも人それぞれです。それを「どのように定量化して、一番効果の高い施策を導き出すか」という部分は、ほかのサービスにはない工程ですよね。

H.T:そうですね。以前はセグメントを分けても、「ライト」「ヘビー」程度だった時代もありましたが、ユーザーさんによってゲームの遊び方が変わるので、セグメントもどんどん細分化されています。そうしないと、ユーザーさんの状況が測れなくなっていますよね。

T.N:そうですね。最近はゲームの遊ばれ方をどれだけのセグメントに分類できるかを考えています。セグメントの切り口や数はゲームによってまったく違うので、正しい答えはありません。ユーザーさんが毎月何にどれだけ時間やお金をかけているのかを可視化すると、ユーザーさんが何を求めていて何を提供すべきかが、遊び方によって違うことがはっきりわかります。

H.T:「面白い」自体がゲームによってまったく異なるので、その体験も変わってきますよね。言葉としては同じでも、バトル系だと「相手を倒すのが面白い」、農園系だと「きれいに作れて面白い」などさまざまで、分析もゲームの内容によってやることが変わっていきますね。

K.F:一般的なWebサービスであれば、できるだけ使いやすく、目的を達成しやすい、という部分にフォーカスして考えればよいのですが、たとえばゲーム中に強い敵を実装した場合、すぐにクリアできればよいというわけではなく、むしろなかなかクリアできない方がよい、ということがありますよね。いろいろな価値観があって、そこが面白い部分ですね。

H.T:あと、ソーシャルゲームやゲームアプリは、ECにおける「売る」や、コンシューマーゲームにおける「ラスボスを倒す」といった最終的な成果がないのも難しいところですね。「ユーザーさんが続けて楽しんでくれることが大事」と考えると、分析方法がひとつに定まらないので、そこが面白いポイントですよね。

T.N:ブラウザゲームとくらべると、アプリはゲーム自体の面白さが求められているのかと思います。ブラウザゲームの時代は、ゲームというよりコミュニケーション中心でした。同じ敵をみんなでワイワイ倒すといった、共通した目標や楽しみ方があったんです。現在のアプリは「ゲームらしいゲーム」になっていて、たとえば「圧倒的な強さで敵を倒すのが気持ちいい」という人もいれば、「簡単に倒せてしまうのはつまらない」という人もいます。そういった楽しみ方に個人の好みが出ているなと感じます。

H.T:人によって面白さが違うので、より複雑になっていますよね。

T.N:そうですね。そして「面白さ」は数字に出にくいものでもあるんですよね。Webサービスの場合、ある機能に対してどれくらいの人が使っているかを調べると、それがサービスに必要なのかどうかがある程度把握できるのですが、ゲームの場合、機能単体での使われ方を調べても意味がないことがあります。たとえば、「戦闘中にパーティが全滅しそうになったが、必殺技で逆転して勝った」という場合、単純に「必殺技を使った」「敵との戦いに勝った」という個々の回数を数えることにあまり意味はありません。「不利な状況で必殺技を使い、その結果勝てた」という組み合わせがあってはじめて「楽しい」となるわけで、そういった情報を知るためにも、K.Fさんがやられている「マーケティング分析」などとの結びつきが重要になってくるんですよね。

K.F:ゲームのマーケティング分析にはいくつかの領域があるのですが、私が担当しているのは、ゲームのマーケティングプロモーションの効果試算や、実際にプロモーションを実施したときの効果測定です。効果試算については、おもに意思決定をするために行いますね。たとえば、テレビCMを流す場合に採算が取れるのかどうかをシミュレーションしたり、テレビCM後にユーザーさんが増えたのか、売上が上がったのかを分析して効果測定し、DeNA全体のプロモーションやマーケティングがきちんとサイクルとして回っていくようにしています。

H.T:教科書のような説明、ありがとうございます(笑)。
テレビCMはいろいろなものが流れていますが、その効果って正確には測れないですよね。すごく難しいなと思うのですが、ゲームというジャンルゆえの特徴はあるのかな。

K.F:一般的な商材の場合、テレビCMを観た消費者の方がすぐに購入するかというと必ずしもそうではないのですが、ゲームアプリの場合、テレビCMを観た多くの方が10分以内にダウンロードする傾向があります。つまりテレビCM後すぐに効果が出る、あるいは、反応がないということがすぐにわかるというのがゲームアプリの特徴ですね。ここは面白いところです。

H.T:なるほど、なるほど。

K.F:そのほかにも、他社様のマーケティング施策を分析することで、成功と失敗の要因を分析して自社のマーケティングに役立てることもやっています。また、市場全体の環境も踏まえ、「これからはRPGが流行る」「コミュニティ重視のゲームが流行る」というような分析もします。

ゲーム分析とマーケティング分析の共通点と違い

T.N:私はK.Fさんとお仕事をするなかで痛感していることがあります。私はゲーム内のログを見て分析するので、ゲームの外のことがわからないんですね。ユーザーさんが減っている場合、ログからはプレイ時間が減って最終的にログインしなくなる、ということはわかるのですが、その根本的な理由がわからない場合もあります。たとえば、ほかに面白いゲームが出てユーザーさんが移ってしまったとか、こういった外部要因はゲーム内の情報からはまったくわからないんです。そこでK.Fさんの力を借りると、外部の影響を教えてもらえる。その情報とゲームのログが結ばれることで、今まで想像でしか補えなかった部分がクリアになるんですよね。目的は一緒ですが、視点を変えるとお互いに見えていない部分が見えてくるので、両方とも不可欠な要素なのかなと思います。

K.F:T.Nさんが行っているログ分析では、ユーザーさんの行動が「確定した情報」として残っていて、そのデータを元にロジックを詰めて、ユーザーさんの感情を想定したり、今後の行動を予測したりできますよね。一方マーケティング分析では、たとえば「テレビCMで入ってきたユーザーさん」というのは、ログがないので識別できないんですね。ですから、「2万人入ってきたユーザーさんのうち、1万人がテレビCMで入ってきた」というように、全体の状況を見て想定の数字を作っていくんです。分析システムを回して数字を作るというよりは、全体の整合性を見ながら、「どういう数字だと合理的な説明になるのか」を考えながら分析するので、方法論も切り口も違っていますね。

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コンシューマーゲームとゲームアプリのマーケティング分析の違い

K.F:コンシューマーゲームは基本的に売り切りなので、宣伝をして購入していただいたら、一旦はそこで終わりなんですね。どのように遊んでいただくかはユーザーさん次第になってしまいます。一方ゲームアプリは運営も含めたサービスなので、ダウンロードしていただくのは最初の入り口でしかありません。その後どう遊んでいただき、どう楽しんでいただくか、そのサイクルを作れるかどうかが大事になってくるので、コンシューマーゲームとゲームアプリの分析はまったく違います。

H.T:ゲームアプリだからこそ分析できる部分もありますよね?

K.F:たとえば車を買ったあとで、ユーザーさんが「どれだけ満足しているか」を測定するのはなかなか難しいのですが、ゲームアプリの場合、ゲーム中にアンケートを実装することによって、満足度を定点観測するような取り組みもできますし、インターネットを通じてユーザーさんと繋がっていることを活かした分析もできると思いますね。

分析手法や技術進化により、「ほしい情報がすぐにそこにある状態」

T.N:分析の仕組みや技術自体が変わってきましたね。5年前だと30分かかっていた計算が、今の技術を使えば1分以内にできます。以前は、まとまった期間の結果を分析し、次の施策を提案、その施策が実装されたら一定期間後にまた分析をする、ということが一般的でした。ただ、ゲームの開発規模がどんどん大きくなっていくなか、今はそれだと遅い。よりリアルタイム性が求められています。現在起こっていることを都度フィードバックしないと、施策を提案しても開発に組み込むタイミングが遅くなってしまいます。以前にくらべると、すばやい分析が重要になっていますね。

H.T:ゲーム自体が複雑になっているので、裏で支えているハードウェアや分析の環境もきちんと進化していかないと、今のサービスに必要な分析もできないですよね。5年前の分析環境だったら、今の分析は到底できない。

T.N:できないでしょうね。以前は必要だと感じたときに集計スクリプトを書いて計算結果を待っていましたが、今は「ほしい情報がすぐにそこにある状態」が実現できているので、意思決定も早くできるようになりましたね。

K.F:ログ分析や市場の分析、ユーザーアンケートのようなものまで、分析手法はたくさんありますが、それぞれわかることが違いますよね。ログ分析だと相関関係がわかります。それに対して、市場の情報収集やユーザー調査によって、なぜそう行動するのかという因果関係や理由が把握できるようになる。その全体を網羅して見ることができると、一般的な商材にくらべてわかることがとても多く、分析できる部分も多いので、そこが楽しいですよね。

T.N:自分が関わっているサービスが世の中でどういう評価を得ているか、それはインターネットである程度は調べることができます。ただ、ログにはもう少しディープな部分が残っていて、そこから示唆を得たうえで、次のものを作り、またフィードバックを受けて作っていく……。永遠に終わらないのですが、その過程がすごく楽しいです。

H.T:分析結果を参考にした施策を出し、その成果が思った以上だったとき、それが一番楽しいしやりがいのあるところですよね。

T.N:もちろん狙い通りにいったときは、「してやったり!」と思いますね(笑)。逆にまったく違う結果になることも多々あって、そういうときはあとでデータを見ながら「考えが足りなかった」と反省したり、その結果未知の要素を発見できたりするのも、楽しみのひとつです。

H.T:うまくいかなかった理由がはっきりわかるのがいいですよね。

T.N:それはもう、はっきりわかります(笑)。

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不確かな状態を構造化して考えることができるか?

H.T:元々DeNAの分析メンバーは、必ずしもコンシューマーゲーム出身者やバリバリの分析出身者というわけではなかったですね。私は大学の教員でしたし、T.NさんもWebのエンジニアです。メンバーのなかには、保険の営業をやっていた人もいますしね(笑)。

T.N:コンサルティングをやっていた人や、コンピューター企業のシステムエンジニアだった人もいますしね(笑)。

H.T:エンタメ業界ではなかった方々ばかりですよね(笑)。何が共通しているんでしょうね?

T.N:いろいろあると思いますが、「サービスに対してこだわりを持てるか」と、「不確かな状態を構造化して考えることができるか?」だと思っています。

H.T:それはありますね。「なぜこういうメカニズムになっているのか」と仕組みを考えるのが好きな人や、雑然としているものをきちんと整理できる人は素養があると思います。あと、サービスへのコミット感については、「絶対」です。ゲームの分析は結果がすぐに出ますが、その結果ごと楽しめる人。楽しむためには、そのサービスで何を実現するのかをきちんと理解していないと難しいです。そしてやっぱりゲームが好きな方がいい(笑)。

K.F:分析部のメンバーに共通しているのは、「ユーザー目線を持っていること」ですね。開発メンバーは、ユーザーさんのことを想像しながら開発していますが、作り手なのでどうしても作り手寄りの思考になってしまうことがあります。そこに対して、分析部のメンバーがよりユーザー目線に近いところでインプットしていくことで、正しいユーザーさんの状況や感情が想像できたり、仮説を立てたりできるので、よりよい施策を実現できるんですよね。

ゲーム分析の仕事をするうえで求められる素養

K.F:たとえば……、統計学の知識とか一般に必要と思われますがどうでしょう? 私はそんなに得意科目じゃないですが(笑)。

H.T:高度な統計学の知識とかってあると良いですけど、基本的な知識で十分な場面も多いですよね。

K.F:ですね。それよりも、ある現象に対して「どうしてだろう?」と徹底的に考える癖がついているとよいと思います。たとえば映画を見て面白いと思ったときに、「なぜ面白いと思えたのか」、ヒットしていたら「なぜヒットしているのか」など……。自分なりに要素を分解して考える癖がある人に素養があると感じます。

H.T:知的好奇心ですね。

K.F:そうですね。そしてなぜ面白いかを説明できる、言語化できることが大事です。日々そのトレーニングですね。

H.T:そうですね。……というかT.Nさんに知的好奇心ってあるんですか(笑)?

T.N:えっ(笑)!?

K.F:聞き方おかしいですよ(笑)。

T.N:偏りはあると思いますがありますよ(笑)。まったく興味のないものに関しては難しいなと思いますが(笑)。自分はゲームが大好きなのでとても相性がいいと思っていますが、これが政治だったりすると、今のパフォーマンスが出せるかは怪しいですね(笑)。

ゲーム分析の醍醐味、目指すところ

H.T:私は元々研究者なので、つねに「人間の根源的欲求は何か」を考えていますね。ユーザーさんの行動に対して、「そのときの感情は何だろう?」というところまで考える。それはビジネスに必要がないことかもしれませんが、好きなんです。

T.N:深くなればなるほど、それについていける人は少なくなるんですよね。そのバランスを俯瞰できて、肌感として持てるようになることは必要ですね。

T.N:私は、インターネットで世の中を便利にするような「新しい何か」を作る環境に身を起き続けたいと思っています。ゲームというものは、突き詰めて考えると、必ずしも世の中に必要ではありませんよね? しかし、ゲームのログを見ると、たくさんのユーザーさんが熱中しているのがリアルにわかります。私はファミコン時代からゲームをプレイしているのですが、当時からゲームに対する世間的な反発はあります。ただ、そう言われながらも、市場としては成長し続けています。新しい何かを生み出すために、「世の中には必要なくとも生活にとっては欠かせないもの」を突き詰めていくことは価値のあることだと思っています。K.Fさんはどうですか?

K.F:私は前職を含めると12年ほどゲーム業界にいますが、本当に進歩が早い業界です。そしてセオリーがないので、自分なりに新しいものに取り組んでいく必要があります。市場環境がどんどん変わっていくので、必然的に追いつくための訓練をしなければならない、そこが醍醐味です。将来的には、会社としてのものづくりの戦略に対して、もっとプラスになるような分析をしていきたいと考えています。単独のプロダクトだけではなく、会社としての勝ち筋を見極められるような分析ができるといいなと思っています。H.Tさんはどうですか?

H.T:私は、ゲームの分析が世の中のサービス分析で一番面白いと思っています。それは、ゲームには人間の持つすべての感情が入っているからです。ゲーム以外のサービスは、ユーザーさんに喜びや楽しみといったポジティブな感情を抱かせることが多いと思いますが、ゲームは「負けて悔しい」「ほしいものがもらえなくて悲しい」といったネガティブな感情も抱かせます。このように喜怒哀楽がすべて含まれるサービスは、ほかにはないと思っています。さらに、ゲームの分析を深掘っていくと、「人間とは何か?」というところまで行き着くと思っています。「人間とは何か」がわかってくると、ゲームに限らず、よりよいサービスを作れるんじゃないかなと。これは私の根底にある考えなので、そういうことができるといいなと思います。

K.F:そうですね。

T.N:そしてより面白いゲームをユーザーさんに届けたいと思います。

H.T:そして、もっとゲーム分析という仕事自体に興味を持ってくれる人が増えてほしいですね(笑)。

K.F、T.N:そうですね!!

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